徳川将軍家は、江戸時代を通して日本を支配し続けた家系であり、彼らの歴史には多くの謎やタブーが存在しています。今回の解説では、その中でも特にテレビで放送されることのない禁忌的な事件や事実に焦点を当ててみます。徳川家の輝かしい歴史の裏に隠された闇を、いくつかの具体的な事例をもとに明らかにしていきましょう。

1. 徳川綱吉と「生類憐みの令」の誤解

江戸時代五代将軍・徳川綱吉は、特に「生類憐みの令」で知られています。この法令は、動物、特に犬を保護する目的で施行されたものですが、その厳格さから「犬将軍」とのあだ名がつけられ、悪評を得ています。

しかし、実際の綱吉は無能な将軍ではありませんでした。彼は当時の儒教思想を背景にした政策を展開し、国の秩序を守ることを意図していました。特に民衆の苦しみを緩和するための法整備や、幕府財政の再建に向けた取り組みも行っており、単なる「犬好き」な将軍という印象は誤解なのです。

しかし、その後の堀田正俊殺害事件などによって、彼の評価は急落し、暴君としての印象が強まっていきました。

2. 徳川家継の若すぎる死とその疑惑

七代将軍・徳川家継は、わずか7歳で将軍の座につきました。しかし、彼の治世は短く、わずか3年後、10歳で夭逝してしまいます。この早すぎる死には多くの謎が残されています。

一説によると、家継の死は内部の権力闘争による毒殺だったのではないかと言われています。将軍の座を巡る陰謀は当時も頻繁に行われており、特に後継者が幼い場合、周囲の重臣たちが実権を握ろうと暗躍していたとされています。家継の死に関しては、未だに明確な証拠は見つかっていませんが、彼の死をきっかけに八代将軍・吉宗が就任することで、幕府内の権力構造が大きく変わったことは事実です。

3. 徳川家治と「幽霊事件」

十代将軍・徳川家治は、病弱で政治的な存在感が薄かった将軍として知られています。

しかし、彼にまつわる怪異譚も少なからず残されています。その中でも有名なのが「風の間」にまつわる幽霊事件です。

家治が住んでいた江戸城の「風の間」には、時折幽霊が現れると噂されていました。ある夜、家治がこの部屋を通りかかると、着物を着た女性の幽霊が現れたと言われています。その女性は、綱吉時代に処刑された堀田正俊の妻とも言われ、彼女が復讐のために姿を現したのだという話が広まりました。この事件以降、家治は体調を崩し、彼の健康は急速に悪化していったとされています。幽霊の出現は、徳川家の不運の前触れとされ、その後の家治の早すぎる死へと繋がるとされています。

4. 将軍の後継者争いと「隠し子」の噂

徳川将軍家では、後継者の選定がしばしば大きな問題となりました。特に、家康の子孫たちが次々と早世したことが、将軍家にとっては大きな危機でした。

例えば、十一代将軍・徳川家斉の時代には、子供が非常に多かったにもかかわらず、後継者選びは困難を極めました。

家斉には50人以上の子供がいたものの、その多くは成人する前に亡くなってしまいました。このため、将軍家には「呪い」がかけられているのではないかという噂も広まりました。また、家斉の後を継いだ家慶についても、「隠し子」がいたのではないかという話がささやかれており、将軍の血筋にまつわる謎が後を絶ちませんでした。

5. 徳川吉宗の改革とその裏側

八代将軍・徳川吉宗は、財政改革や教育制度の改善などで「享保の改革」を推進し、幕府を立て直した将軍として有名です。しかし、彼の改革の裏には厳しい一面もありました。

特に、財政難に苦しんでいた幕府を救うために実施された増税や農民への厳しい取り締まりは、時に反乱を引き起こす原因ともなりました。吉宗はその一方で、影の部分として「情報機関」を活用していたとされ、幕府内外の動きを密かに監視していたと言われています。この情報機関を通じて、吉宗は反乱や陰謀を未然に防ぎ、自身の権力を強化していたのです。

6. 最後の将軍・徳川慶喜の謎の行動

徳川慶喜は、徳川家最後の将軍として有名です。彼は大政奉還を行い、幕府を解体に導いた張本人ですが、その後の彼の行動には謎が多く残されています。

特に注目すべきは、彼が将軍職を退いた後の隠遁生活です。慶喜は政治から身を引き、静かに余生を過ごしましたが、彼の行動は多くの謎を呼びました。なぜ彼はあれほどまでに徹底して政治に関与しない姿勢を貫いたのか？これは一部の歴史家の間で議論されていますが、慶喜が密かに幕府再興を企てていたのではないか、あるいは倒幕派との裏取引があったのではないかという説もあります。