このシーンでは、まず藤原伊周(これちか)が道長に向かって強い呪詛をかけていました。伊周は、かつて自分が期待していた厚安親王が次の東宮に選ばれなかったことに対して、道長を激しく責め立てます。「すべてお前のせいだ!」と怒りの言葉をぶつけ、呪いの言葉を込めた紙を撒き散らす姿は鬼気迫るものがありました。その場に居合わせたまひろは、その光景に驚きを隠せません。
そしてその後、奥から現れたのは道長自身でした。道長の姿を見た瞬間、まひろは目に涙を浮かべ、何とも言えない表情を見せます。まひろにとって、道長が受けた呪詛は一体何を意味していたのでしょうか。
まひろの涙の理由を考えると、彼女が道長に対して複雑な感情を抱いていたことがわかります。まひろは源氏物語の作者であり、作品を通じて自身の思いや価値観を反映させていました。しかし、その物語が政治の道具として利用され、道長を含む貴族たちの策謀に巻き込まれていく現実を目の当たりにしたとき、彼女の心には深い葛藤が生まれていたのかもしれません。
まひろにとって、道長はただの権力者ではなく、ある種の理想を背負った存在でした。しかし、その道長が自身の私欲のために厚安親王を排除し、自分の孫である厚平親王を次の東宮に押し上げようとする姿に、まひろは道長が「闇に落ちた」のではないかという恐れを抱いたのではないでしょうか。
また、このシーンのタイトルが「眩しきや」だったことにも注目すべきです。まひろと道長が見つめ合った場面には、まるで象徴のように光が差し込んでいました。この光は、道長が背負うべき正義と理想を表しているのかもしれません。
まひろが涙を浮かべたのは、彼女自身がかつて道長に願いをかけ、その道を進ませたことがどれほど残酷なことだったのかを実感したからではないでしょうか。道長の権力への道筋が、彼の意思ではなく、まひろを含む周囲の人々の期待や要求によって形作られたものであったと気づいたとき、まひろの心には痛みと後悔が込み上げてきたのではないかと思われます。
まひろは、道長が次の東宮に厚平親王を推すと聞いたとき、驚きを隠せませんでした。彼女にとって、厚安親王こそが本来次の東宮にふさわしい人物だったからです。道長が闇に落ちたのではないかと考えたまひろにとって、道長の選択は彼自身の理想を裏切るものに見えたのかもしれません。
道長もまた、その瞬間、まひろに見られたくないと思っていたでしょう。自らが負うべき光と闇の両面を直視されることは、彼にとって苦痛だったに違いありません。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9Lnm8erzTMM,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]