第39回の「光る君へ」は、緊迫した場面が続く中、物語がさらに大きく動き始めます。物語の舞台は寛弘六年（1009年）11月。藤原道長の娘である藤原彰子が、二人目の皇子を無事に出産するシーンから始まります。都では多くの貴族や僧侶が集まり、盛大な出産祝いが行われ、にぎやかな雰囲気が広がっていました。しかし、その裏で大きな緊張感が漂っていました。

藤原道長の願い

宴が進む中、藤原道長はふと静かにこう呟きます。「できれば私の目の黒いうちに、淳平さまが帝位に就く姿を見たいものだ」と。この言葉は、道長が自らの野望を抱えつつも、年齢や健康の不安を感じ始めていることを暗示していました。忠信や雪成らが彼を取り囲み、団結を誓い合う様子が描かれますが、道長の背負う重圧が一層強調されます。

まひろと道長の微妙な関係

年が明けた後、主人公であるまひろは父・藤原為時の屋敷に戻り、家族と共に正月を迎えます。彼女は道長から送られた豪華な絹物を持ち帰り、家族がその贈り物に驚く中、為時はふと気付きます。まひろの子供の実の父親は亡き夫・藤原信孝ではなく、道長であることに。ここで、まひろと道長の隠された関係が再び表面化し、物語に緊張感が走ります。

伊周と惟規の最期

一方で、物語の核心となるのは伊周と惟規の運命です。彼らは、病に侵された藤原伊周の苦悩と、彼の最期にまつわる悲劇的な物語を通じて、視聴者の心を揺さぶります。藤原伊周は、病床に伏しながら「私はすべてを奪われ、死んでいくのだろうか」と悔しさを滲ませます。弟・藤原高家が見舞いに訪れ、「安心して旅立ってください。私は兄上の意志を引き継ぎます」と励ます場面は、二人の兄弟愛が深く描かれる感動的なシーンです。

その後、伊周は「道長には従わないように」と遺言を残し、36年の生涯を閉じます。この場面は、視聴者にとっても感慨深く、まひろが涙を流す瞬間が強調されるでしょう。

天皇の後継問題

一条天皇の体調が悪化し、彼は次第に気弱になっていきます。天皇は自らの死期を悟り、「私がこの世を去る前に、淳平を帝位に就けたい」と道長に語ります。ここで、後継者問題が一層深刻化し、物語の緊張感が一層高まります。天皇の願いを受けた道長は、急いで準備を進めることを誓い、一方で藤原明子はその未来に対して深い不安を抱いています。

光る君と源氏物語

物語の最後に、道長はまひろのもとを訪ね、彼女が執筆中の『源氏物語』について問いただします。彼は「源氏の物語に影響されすぎて、危険な道を歩むのではないか」と懸念を示しますが、まひろは軽く流します。しかし、このやり取りは、彼らの関係に微妙な亀裂を生む予感を感じさせ、視聴者を次回への期待で満たします。

感動の最期

この第39回では、伊周と惟規の死、そしてまひろの涙が物語の中心となります。

彼らの運命に寄り添うように描かれた細やかな感情描写が、視聴者の心を揺さぶり、物語に深い感動を与えることでしょう。特に、まひろが父・為時の死を前にして詠む歌は、視聴者にとっても涙を誘う場面となります。