NHK大河ドラマ「光る君へ」も、ついに佳境に突入しました。幼くして即位した一条天皇は、最愛の貞子との恋と、中宮として迎えた彰子との絆の間で葛藤し続けます。心の中にはいつまでも貞子の存在がありながらも、彰子に心を開こうと努める一条天皇の姿は、視聴者に切なさと感動を与え続けています。
塩野瑛久が語る「一条天皇」の姿は、自らの信念と愛する人々への思いを抱えた苦悩の日々でした。
塩野が語るように、一条天皇は民を愛し、政の道も疎かにはしていません。しかし、その信念が道長のような実力者たちの思惑によって、常に翻弄され続けます。一条天皇は周囲に真意を伝えられないもどかしさと愛への迷いから、心を砕かれ続けます。それでもなお、彼は一人の人間として、そして帝として精一杯生きようとするのです。
塩野はこの撮影について、「一条天皇を演じながら、とにかく苦しかったです。でもそれが一条天皇の人生であり、その分だけ役に没頭することができました」と、役への思いを語っています。
道長との関係は、一条天皇にとって複雑なものでした。道長は時に彼の弱みを支え、源氏物語を贈るなど彼を理解しているように見えますが、一条天皇はその裏に潜む思惑に気づいていた節もあります。
一条天皇にとって道長は頼れる存在でありながらも、自身の意思を抑え込む要因でもありました。それでも、「彼が言うならば」と道長の意見を取り入れざるを得ない場面も多くあり、信頼と疑念が入り交じる関係は視聴者の興味を引きつけます。
貞子の死後、一条天皇は深い喪失感に苛まれ、心の支えを失います。そんな彼にとって、紫式部が書いた源氏物語は癒しと逃避の場所であり、また自らの生き方や愛に対する教訓を得る手がかりでもあったのです。
物語に込められた紫式部の情熱に心を動かされながらも、一条天皇は物語の中に自らの影を見つけ、次第にその世界観に引き込まれていきます。
「物語を通して、心の拠り所を見つけようとしていたのでは」と塩野は語り、源氏物語が一条天皇にとっての重要な存在であったことを明かしました。
一条天皇は貞子に対する思いを抱きながらも、彰子との間に少しずつ信頼と愛情を育んでいきます。彼は彰子の心からの献身に応えたいと思い、また一緒に育てた子である敦成(あつひら)天皇に対する深い愛情から、彼女を見守るようになります。
その心情の変化は第三十五話で劇的に描かれました。彰子が彼に製本された源氏物語を贈り、無償の愛を示したことは、一条天皇にとって非常に大きな出来事でした。彼は貞子を忘れることができなくとも、彰子の愛に応えることで自分なりの家庭を築こうと努力していきます。
一条天皇は、息子である敦成が自分の跡を継ぐことを願っていました。敦成が天皇となることは、貞子との愛の証であり、彼の最も強い願望でした。塩野も「一条天皇は貞子の息子を天皇にしたいという思いで一途に貫こうとした」と語り、その決意が物語の軸にあることを説明しています。
一条天皇の最後の願いがどのように展開されるのか、視聴者にとっては見逃せないポイントです。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=b4orT1OLxTk,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]