平安貴族の朝は「3時スタート」！

まず、驚くべきは貴族たちの一日の始まりです。平安時代の貴族たちは、日の出前の早朝3時ごろに起床していました。現代人にとっては信じられないような時間ですが、当時の彼らにとって早朝は神聖な時間でした。この時間に起きることで、心身を清め、神仏への祈りを捧げることが貴族たちの日常でした。

起床後、彼らは神聖な儀式に臨み、七回祈祷を捧げることが習慣化されていました。この儀式は、日々の繁栄と無事を願うものであり、特に貴族にとって精神を整える重要な時間とされていました。早朝から厳かな雰囲気で一日が始まるというのは、彼らにとって心の安定と清らかさを保つための儀式だったのです。

政務に追われる午前中

平安貴族たちの一日は忙しく、午前中は主に政治活動が中心でした。彼らは朝早くから宮廷や役所に出向き、重要な会議や政務に携わりました。

平安時代の政治は、多くの人々が関与し、長い議論を経て決定が下されるため、貴族たちは常に出席する必要がありました。

さらに、日常的に行われる儀式や神仏への感謝を示す行事などにも参加が求められました。こうした儀式は非常に厳粛で、貴族たちは礼儀正しく慎重な態度で臨むことが要求されました。

食事と文化的な息抜き

午前中の公務が終わると、貴族たちは昼食の時間を迎えます。平安時代の貴族にとって、食事は栄養を摂るだけでなく、文化的な活動の一部でもありました。食事中には詩を詠んだり、音楽を奏でたりすることが一般的で、これは彼らにとって重要な交流の場でもありました。

彼らの食事には、白米や新鮮な魚、季節の野菜が並び、特に白米は非常に貴重な食材とされていました。高級食材を使った料理が贅沢に振舞われ、食後は楽器を奏でたり、書道に没頭したりと、文化的な趣味に時間を費やしました。平安貴族たちは、こうした趣味を通じて自らの教養を高め、他の貴族たちとの交流を深めていたのです。

十二単の苦労とトイレ事情

華やかで優雅な十二単。しかし、その美しさの裏には大変な苦労がありました。十二単はその名の通り、複数の着物を重ね着するスタイルで、その重さは10キログラム以上にもなることがありました。着こなすのにはコツが必要で、特にトイレに行く際には一苦労でした。

十二単を着たままトイレに行くのは容易ではありません。裾が汚れないようにするため、複数の侍女が付き添い、着物を持ち上げたりする必要がありました。また、特別なトイレ道具が使われ、丁寧に処理が行われたとされています。こうした配慮は、着物を汚さずに保つための工夫であり、平安時代の貴族女性たちにとって、トイレさえも特別な行動でした。

女房たちの支え

平安時代の貴族生活を支えていたのは、女房たちの存在です。女房たちは、貴族の生活を物理的・精神的に支える重要な役割を果たしていました。上級女房は高い教養を持ち、政治的な取引や社交の場において貴族をサポートする役割を担い、一方で下級女房は日常的な世話や家事をこなしました。

女房たちは、主人の気分や状況に応じて臨機応変に対応し、夜遅くまでその支えとなっていました。彼女たちの存在なしには、貴族たちの華やかな生活は成り立たなかったことでしょう。