今日、祖母の七回忌が訪れた。祖母が旅立ってから六年の歳月が流れたが、その温かさと愛情は今もなお心に深く残っている。側にいないはずなのに、思い出すたびにまるでそばにいるような気がして、ふと胸の奥に温もりを感じることがある。今日はその温もりが、いつもよりも強く感じられた日だった。
幼少期の思い出は、どれも祖母との楽しい時間で満ちている。祖母は穏やかで、いつも優しい笑顔で私を見守ってくれた。祖母の声や笑顔を思い出すと、まるで昨日のことのように鮮明に浮かび上がる。特に、祖母が私を膝に乗せて、物語を聞かせてくれた夜のことを思い出す。祖母の声はいつも柔らかく、優しいトーンで、まるで私を包み込むように話してくれた。
七回忌の法要で、親戚一同が集まった。皆が祖母のことを思い出し、涙ぐむ場面もあった。だが、不思議と私の心は穏やかで、どこか温かいものに包まれているような気がした。祖母がずっと私たちを見守っている、そんな思いが込み上げてきた。
法要が進む中、祖母の遺影に目を向けると、その笑顔が今にも話しかけてくるように感じた。「元気でいるの?」そんな祖母の問いかけが心の中に響く。私も心の中で「うん、大丈夫だよ」と返事をしたくなる。それが単なる思い込みかもしれないが、確かに祖母は私たちと一緒にこの場にいる気がした。
祖母との最期の別れは突然だった。病院のベッドで祖母は静かに息を引き取ったが、私にとってその瞬間は今も鮮明に記憶に残っている。悲しみと喪失感に打ちひしがれていた当時、私は祖母の存在が消えてしまったように感じた。しかし、その後、何度も祖母の温もりを感じる不思議な体験をした。
ある日のこと、私は祖母がよく使っていた部屋に立ち寄った。そこは、祖母が最後まで過ごした場所でもあった。部屋の中に漂う祖母の香りや、見慣れた家具たちが、まるで祖母がすぐそこにいるような錯覚を起こさせた。その時、不意に背中に温かい風が触れた気がして、振り返ると誰もいない。それでも、確かに祖母が「大丈夫だよ」と言ってくれているような感覚があったのだ。
法要が終わり、親戚たちが次々に帰っていく中、私はふと祖母の仏壇の前に座り、一人静かに祈りを捧げた。しんと静まり返った部屋の中、祖母がいつも私に語りかけていた言葉を思い出した。「何があっても、自分を信じなさい」。その言葉が、今でも私を支えてくれている。
その時、不思議なことが起こった。仏壇の前で手を合わせていると、肩にそっと触れる温かい感触があった。驚いて振り向くと、やはり誰もいない。しかし、その瞬間、涙が自然とこぼれ落ちた。涙の理由は分からないが、なぜか安心感に満たされていた。まるで祖母がそっと「よく頑張ったね」と励ましてくれているようだった。
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