昭和33年、私の両親は結婚し、新婚旅行に出かけました。当時、若々しい二人は29歳の父と23歳の母。彼らが選んだ旅先は、南紀白浜、勝浦、新宮という和歌山の名所でした。関西出身の両親にとって、旅行先としては京都や奈良、伊勢志摩も一般的な選択肢だったにもかかわらず、なぜ南紀を選んだのか、その理由には当時の人々の間にあった憧れや、それにまつわる一つの深い思い出がありました。
南紀白浜といえば、美しい海岸線と豊かな自然、そして温泉地としても有名です。当時の新婚旅行の定番コースでもありましたが、特に白浜は「若者のリゾート」としてその名を馳せていました。だからこそ、若い二人にとってはぴったりの選択だったのでしょう。しかし、一枚の写真が目を引くのは、旅行先そのものではなく、母の着物姿です。
現代であれば、リゾート地に出かける際は洋装やカジュアルな服装が一般的ですが、昭和の時代、特に戦後の日本ではまだまだ着物が普段着として根付いていた時代でした。
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