真尋と片子が二人きりで寝床の準備をしている夜、彼らの会話はいつもとは少し違った空気を纏っていました。その日、家に訪れた掃寿丸に対して、片子は思いやりを見せますが、真尋は少しばかり疑問を抱きました。「あのような武者にも優しくできるのね」と問いかける真尋に、片子は「あの人が助けてくれたから」と答えます。真尋はさらに続け、「それでもあんな言い方をされても怒らないの?」と尋ねました。片子は「怒るのは嫌いだから」と静かに答え、真尋はそれに無言で頷きますが、どこか寂しげな表情を浮かべるのです。
実は、真尋の「怒ることは嫌いなの?」という問いかけには、過去の出来事が関係しています。真尋がこの問いを片子に投げかけたのは、幼い頃の道長とのやりとりを思い出したからでした。子供時代の道長も「怒るのは嫌いだ」と語っていたのです。道長が幼い頃に真尋と交わしたその言葉は、彼の心に深く刻まれていました。そして、成長してもなお「怒り」を嫌う姿勢を持ち続ける道長は、真尋の中で「怒らない強さ」を象徴する存在として記憶に残っているのです。
真尋が片子に「怒ることは嫌いなの?」と尋ねたのは、道長の面影を片子に重ねていたからかもしれません。彼が片子の「怒らない」という言葉に対して一瞬表情を曇らせたのは、道長への想いが再び甦ったからでしょう。
道長のもう一人の娘である明子もまた、父の「怒らない」姿勢を感じ取っているようです。真尋は明子と向き合う時、どこか道長の影響を感じていました。
道長はある時、厚平に対する強い反対の意を示しつつも、自分の意志を押し通してしまいます。父に対して尊敬の念を抱きつつも、どこかで反発心を抱き始める明子。彼女が「父の意志に従うだけではない」ことを示そうとする姿勢は、道長の性格と相まって、父娘の間に新たな距離感を生んでいきます。真尋はそんな明子の成長を見て、彼女もまた道長の「強さ」を引き継いでいることを実感し、彼女の中に父と同じ気質を感じ取ります。
一度、道長が真尋に対して本気で怒ったことがありました。それは第11話で描かれた、夜の石山寺での場面です。真尋は道長に抱きしめられ、彼の「北の方」になってほしいと告白されますが、彼女はその提案に対して複雑な感情を抱き、断ります。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=sv1ZgJwH7ng,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]