平安時代の宮廷は、政治と人間関係が複雑に絡み合った舞台でした。その中で、藤原道長の権力は絶大でしたが、一条天皇とその妃・藤原彰子との間にも様々なドラマが展開されていました。今回の物語では、一条天皇が体調を崩し、その影響が周囲に広がる様子が描かれています。

宮廷の朗読会と道長の発言

観光八年五月、宮中の代理で開かれた『源氏物語』の朗読会。そこには一条天皇、藤原道長、そして彰子をはじめとする藤原家の重臣たちが集まっていました。朗読を担当していたのは、彰子の付き人である初の君でした。

朗読が進む中、藤原厚や新王がふとまひろに問いかけます。

「光る君のこと、どう思っているのでしょうか？」

その問いに、まひろは優しく微笑むだけで、明確な答えを避けました。そこで厚や新王が続けて言います。

「それなら、光る君は憎まれていたと考えることにしましょう。」

その瞬間、静かに藤原道長が口を開きました。

「たとえ光る君が誰かに愛されていたとしても、彼が真の幸せを得ることはなかっただろう。不実な行いは必ず自分に返ってくるものだから。」

道長がまるで物語の未来を予見しているかのような発言に、まひろは驚きます。彼女は道長が、自分が寝室を離れた後に『源氏物語』の原稿を読んだのではないかと察します。

まひろの葛藤と道長の圧力

まひろは日記に新たな章を書き進めるも、その手は震えていました。道長の期待と、宮廷内での藤原貞子郎に関する事柄をどう記すべきか、彼女は重い責任に苦悩していました。彼女は道長の目に見られながら、どうしても藤原家の影響を断ち切ることができません。

「あなたの言葉は風に乗って遠くへ消えてしまうようだ。

まひろは自問自答しながら、自分が何を書き、どのように生きるべきかを悩んでいました。

一条天皇の体調悪化と道長の策動

そんな中、一条天皇の体調が徐々に悪化していきます。藤原彰子は一条天皇に心配し、そばに付き添いますが、彼は静かに言います。

「苦しむ民の心に寄り添うためだ。」

この一条天皇の言葉に感動した彰子は、「あなたはまるで仁徳天皇のようです」と称賛しました。しかし、その直後、一条天皇は苦しそうに胸を押さえます。翌日、彼はついに床に伏してしまい、その病状は深刻なものとなります。

藤原道長は、大江の昌平に天皇の運命を占わせます。占いの結果、昌平は「天皇の代が終わりに近づいている兆しが見える」と告げました。

道長はその占い結果をもとに、宮廷内で天皇の譲位について議論を進めますが、そのことが彰子の怒りを引き起こすことになります。

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