第三十八話の最後で、まひろが道長を目にして涙を浮かべたシーンは、多くの視聴者の心に残りました。この場面では、孤かが道長に向かって呪いの言葉を浴びせ、その場から連れ去られていく様子を、まひろはただ驚いて見守っていました。呪詛の紙が散乱する混乱の中、まひろが目にしたのは、奥から静かに姿を現した道長の姿でした。
この瞬間、まひろの表情は心配と困惑が入り混じったものでした。道長が受ける厳しい非難の姿を目の当たりにした彼女の心には、一体どんな感情が渦巻いていたのでしょうか?道長もまた、まひろに自分のこの姿を見られたくなかったという複雑な感情を抱いているように見えました。
まひろが泣いた理由は一筋縄ではいきません。単なる同情ではなく、そこには様々な要素が絡んでいます。孤かが道長を呪った背景には、次の東宮(皇太子)の座を巡る争いが関係しています。
本来その座につくべきだった貞子の息子、厚安新王の可能性を奪い、代わりに道長の孫がその地位に選ばれたことが、今回の事件の発端でした。
まひろにとって、厚安新王は亡き貞子の遺志を継ぐ存在であり、その可能性が潰されたことに心を痛めていました。そのため、道長が私利私欲のために動いているとは理解しつつも、彼の選択が正しいのか疑念を抱かざるを得なかったのです。彼女は自らの物語が人々に恨まれ、厚安新王の運命もまた無惨な形で終わりを迎えつつある現実に、深い悲しみを感じていました。
道長の表情には、自分が背負うべきものの重さが刻まれていました。まひろは、その苦悩を感じ取っていました。彼はただ権力を欲したのではなく、良き政治を行い世の中を正しい方向に導くことを願っていました。しかし、そのために彼が選んだ道は、あまりにも多くの恨みを生むものでした。
まひろはこの時、道長に自分が課した「約束」がどれほど残酷なものだったのかを痛感したのではないでしょうか。彼女が涙を浮かべたのは、その約束が呪いのように彼を縛り、彼が道を誤ったのではないかという思いに囚われたからかもしれません。
一方で、まひろが道長を見て涙を浮かべた理由として、「道長が闇落ちしたのでは」という可能性も考えられます。道長は私利私欲で動いているように見えた一方で、本当は善政を目指していたはずです。しかし、亡き貞子の子・厚安新王の未来を奪い、自らの孫を次の東宮に据える決断は、まひろにとって裏切りと映ったのかもしれません。
まひろは以前、道長が厚安新王ではなく松平を推すと話した時、驚きと失望を隠せませんでした。そのため、彼女はこの瞬間、道長が「変わってしまった」と感じ、深い悲しみに包まれたのではないでしょうか。
この回のタイトルである「眩しき闇」には、象徴的な意味が込められているように思えます。まひろと道長が見つめ合ったシーンで差し込む光は、まるで彼らの間に存在する希望のようでした。しかし、その光が強ければ強いほど、闇もまた濃くなっていきます。
物語の中で、明子が厚安新王を「私の闇を照らす光」と表現していました。その言葉から、厚安新王の存在がまさに「光る君」であり、道長の行動がこの光を遮る「闇」として描かれていることがわかります。
まひろが道長に向けた涙は、彼への失望、同情、そして理解が入り混じった複雑な感情の象徴でした。道長は自らの信念に従って行動していたものの、その道がまひろや周囲の人々にどれほどの悲しみをもたらしたのか、彼女は痛感していたのです。
この涙には、「ここまで来たからには成し遂げてほしい」という願いも込められていたのかもしれません。道長がどれほどの闇を背負おうとも、その先にある光を見つけてほしい――それがまひろの切なる願いだったのではないでしょうか。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9Lnm8erzTMM&t=31s,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]