昭和の時代、2リッターを超えるエンジンを搭載した車両は高額な自動車税がかかるため、各メーカーは2リッター以下のエンジンを中心に競争を繰り広げていました。特に昭和60年代に入ると、馬力表示が「グロス」から「ネット」へと変更され、各社はネットで200馬力以上を目指す「パワー競争」に火花を散らしました。今回は、そんな時代に登場したハイパワーな2リッターターボ搭載車の中から、特に印象的な4台を取り上げ、その魅力に迫ります。
1986年1月、トヨタは高級車ソアラをモデルチェンジし、2代目が登場しました。初代の台形フォルムを受け継ぎつつ、曲線を取り入れた美しいスタイルが大きな話題を呼びました。さらに、内装には世界初の「スペースビジョンメーター」が搭載され、時代を先取りするハイテクが満載。エンジンは2種類が設定されており、3リッター直6ツインターボ「7M-GTEU型」は230馬力を誇り、2リッター直6ツインターボ「1G-GTEU型」は185馬力を発揮。
1988年には2リッターエンジンのパワーを200馬力に引き上げ、当時としては驚異的なスペックを実現しました。
ソアラはその洗練されたスタイリングと高級感で、多くの層に支持され、バブル期の好景気も相まって約5年間で30万台以上を売り上げる大ヒットとなりました。特に、2リッターツインターボはスポーツモデル「スープラ」や「マークII」にも採用され、最高出力210馬力に達しました。
1987年6月にデビューしたY31型セドリック/グロリアは、角ばったデザインから丸みを帯びたエレガントなスタイルへと変更され、日本の高級車のイメージを大きく刷新しました。また、スポーティーな「グランツーリスモ」グレードを新たに設定し、従来の「ブロアム」に加え、走りにこだわる層にも訴求しました。特徴的なフォグランプ内蔵のエアロバンパーは、空気抵抗を減らし、安定した走行を実現しています。
Y31型に搭載されたのは新開発の2リッターV6ターボ「VG20DET型」で、最高出力180馬力を発揮。このエンジンは後にレパードやスカイラインにも採用され、インタークーラーの追加で200馬力を超えるパワーを実現しました。
特にグランツーリスモ仕様は、4灯式ヘッドライトとスポーティーなデザインで人気を博し、高級車でありながらスポーティな走りを求める層に大きな支持を得ました。
1987年10月にフルモデルチェンジした6代目ギャランは、斬新な逆スラントフロントマスクが特徴でした。他のセダンが低くスタイリッシュなデザインを追求する中、高めの全高を採用した異質なスタイルが際立っていました。当初は新開発の2リッター直4エンジン「4G63型」を搭載していましたが、12月にはさらに進化したフルタイム4WDシステムとインタークーラーターボを備えた「VR-4」が登場。このVR-4に搭載された4G63型エンジンは、当時の2リッターエンジンとしては最高の200馬力を誇り、スポーティな走行性能を実現しました。
ギャランVR-4は、三菱にとって久々の大ヒット作となり、カーデザインの専門家からも高評価を得て、三菱車初の「カー・オブ・ザ・イヤー」に輝きました。
その後、このターボエンジンは毎年のように改良が重ねられ、後にランサーエボリューションにも採用され、最終的には280馬力にまで向上。日本の2リッターターボエンジン史に名を刻む名機として知られています。
1988年9月に発売された初代セフィーロは、モダンで洗練されたデザインと斬新なコンセプトで日産セダンの中でも特別な存在でした。プロジェクターヘッドライトとスリムなピラーを採用したシックスライトウィンドウのデザインは、当時の日産車にはない上品で落ち着いた印象を与えました。エンジンには新開発のRB20DET型直6ターボが搭載され、空冷インタークーラーにより200馬力を超える高出力を実現。快適なセダンでありながら、スポーツカー顔負けの加速性能も備えていました。
セフィーロは、井上陽水さんが「皆さんお元気ですか?」と語りかけるCMも話題となり、日産セダンの新しい象徴として位置付けられました。
RB20DETエンジンは、1989年登場のローレルやスカイラインにも搭載され、スカイラインにおいては最大で210馬力にまで引き上げられ、スポーツカーとしての存在感を示しました。
以上、昭和60年代に登場したハイパワーな2リッターターボ搭載車4台をご紹介しました。これらの車は、昭和から平成への時代の変わり目に、日本の自動車業界に新風を吹き込み、今日のパワフルな2リッターターボ車の基礎を築きました。次世代モデルが続々と進化を遂げる中、これらの名車たちは今もなお多くの車好きに語り継がれ、憧れの存在であり続けています。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=ip-TU0DOh9A,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]