NHKの朝ドラ「虎に翼」、現在放送中の作品として大いに話題を集めています。このドラマ、毎日見ている視聴者にとっては、ヒロインの成長や困難に立ち向かう姿が非常に魅力的であり、ドラマのモデルになった人物にも興味が深まることでしょう。

そのヒロインのモデルとなったのは、日本初の女性弁護士として歴史に名を刻んだ三淵嘉子さん。嘉子さんは、弁護士としてだけでなく、五人の子供を育てる母親としても活躍していました。このドラマでは、彼女の激動の人生や家庭の中での苦労が詳細に描かれていますが、今回は三淵嘉子さんの家族、特に彼女の子供たちについての驚くべき事実を深掘りしてみましょう。

驚きの家族構成と息子の職業

三淵嘉子さんは1941年に和田義夫さんという男性と結婚し、彼との間に一人の息子をもうけました。しかし、ドラマで描かれるように、戦争中に和田さんは病に倒れ、三淵嘉子さんは若くして未亡人となりました。

この時、彼女は子供を育てながらも、弁護士としての勉強や仕事を両立させるという非常に厳しい生活を送っていました。

その後、1956年に三淵嘉子さんは、初代最高裁判所長官の三淵忠彦の長男であり、最高裁調査官としても活躍していた三淵健太郎さんと再婚しました。しかし、三淵健太郎さんには、前妻との間に4人の子供がいたため、三淵嘉子さんは一気に五人の子供を持つ母親となったのです。

この中で、彼女の実の息子である吉竹さんが注目を集めています。彼は1943年に生まれ、後に生物学者として活躍しました。吉竹さんの卓越した知識と洞察力は、母親である三淵嘉子さんから受け継がれたものかもしれません。ドラマの中では、息子がさまざまな困難を乗り越え成長していく様子が描かれていますが、実際の吉竹さんもまた、母親の影響を強く受けながら、自分の道を歩んでいったのです。

苦難と再婚による新たな家族

三淵嘉子さんが再婚した三淵健太郎さんとの間では、すでに前妻との間に生まれた4人の子供がいたため、家庭内での葛藤も少なからずありました。特に、吉竹さんと三淵健太郎さんの連れ子たちは年齢が近かったこともあり、複雑な人間関係が生まれました。

吉竹さんは、再婚後も父の姓である「和田」を名乗り続け、母親が新しい家庭に入り込むことに対して一定の距離感を保っていたようです。吉竹さんが13歳という多感な時期であったことも、この家庭内の調和に影響を与えたとされています。一方、三淵健太郎さんの子供たちもまた、母親を失ったばかりのタイミングで新しい母親が家に入ってきたことに、複雑な感情を抱いていたに違いありません。

特に、三淵健太郎さんが三淵嘉子さんに対して非常に深い愛情を注いでいたことが、子供たちの反感を買い、家庭内での衝突を招いたこともあったといいます。家族間の言い争いが絶えない日々が続く中でも、三淵嘉子さんは弁護士としての仕事をこなし、母親としての役割も果たし続けました。

弁護士としての道と家族との葛藤

三淵嘉子さんは、日本初の女性弁護士としてその名を知られていますが、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。彼女が弁護士としての勉強を続ける中、戦後の混乱期に子供を育てながら、さらには再婚後に義理の子供たちと折り合いをつけながらの生活は、まさに「戦い続けた人生」そのものでした。

彼女の息子である吉竹さんも、この母親の生き様を間近で見ていたため、後に「母は戦い続けた人生を送っていた」と語っています。彼女が直面した困難は、家庭内での問題だけでなく、当時の社会的な偏見や制度的な障害も含まれていました。そんな中でも彼女は、弁護士としての道を切り開き、さらには家族を守り抜いたのです。