日本中を笑顔にした伝説的コメディアン、志村けんさん。彼の死は多くの人々にとって計り知れない悲しみをもたらしました。彼が新型コロナウイルスに感染し、帰らぬ人となったというニュースは日本全国に衝撃を走らせ、芸能界の大きな損失となりました。しかし、彼の人生にはもう一つの顔があったことをご存知でしょうか？それは若き頃の逮捕事件、そして彼の遺産を巡る問題です。

笑いの裏で揺れる「逮捕」の事実

志村さんが「ザ・ドリフターズ」に加わり、名を馳せるようになったのは1970年代のことでした。しかし、80年代には当時のドリフターズのメンバーである中本幸二さんと共に、意外な形で注目を集めることになります。それは、競馬法違反による逮捕でした。

この逮捕の原因となったのは「ノミ行為」という行為です。これは、馬券や車券の売買を正式な主催者を通さず、個人で仲介をしてしまう違法行為を指します。

逮捕当時、志村さんは記者会見で謝罪の意を表し、謹慎処分となりました。しかし、彼は謝罪会見さえもお笑いの一部にするかのような軽妙さを見せ、「これもドリフターズらしい」と一部では評価されたものの、世間の反応は厳しく、「解散すべきだ」との声も上がりました。その後、金額の小ささから志村さんは不起訴となりましたが、中本さんは罰金刑を受けました。

そして訪れたコロナ禍での悲劇

志村さんは、その後も精力的に活動を続け、多くの人々に愛され続けました。しかし、2020年、新型コロナウイルスが猛威を振るい始めると、彼の体調も急変してしまいます。同年3月17日、軽い風邪の症状を訴えていた志村さんでしたが、その後、高熱や呼吸困難に陥り、翌日には東京都内の病院へ搬送されました。数日後、彼が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、人工呼吸器を使用するなどの治療が行われましたが、3月29日、彼は病院で息を引き取ることとなったのです。

志村さんの感染経路については様々な憶測が飛び交いました。特に、大阪北新地のクラブ藤崎のオーナー藤崎まり子さんや、志村さんの誕生日会が行われたとされる銀座のクラブブレアが感染源ではないかとネットで噂されました。しかし、藤崎さんはインスタグラムでこの噂を全面的に否定し、志村さんに会ったことは一度もないと明言しました。芸能界の大物であった志村さんは、様々な場所で人と接する機会が多く、感染源を特定するのは困難だったのです。

4億の豪邸と志村けんの遺産行方

志村さんの死後、彼の残した資産が注目されるようになりました。その総額は10億円にも上ると言われており、彼の遺族は多額の相続税を支払う必要があるとされています。主な遺産の内訳として、不動産、現預金、そして著作権収入が挙げられます。

東京都港区高輪にある豪邸は、バブル期に4億円で購入されたもので、現在も約6，300万円の価値があると見られています。また、彼は熱海や麻布十番にもマンションを所有しており、これらの不動産だけでも数億円の資産価値があると推測されています。

一方で、志村さんには借金もほとんどなく、残された財産は兄弟へと相続される見込みです。

志村さんは三人兄弟の末っ子で、法的には兄が相続権を持つことになります。しかし、志村さんの書籍『変なおじさん』には、過去に交際していた女性との間に子どもがいる可能性が示唆されており、もしその子どもが認知されていれば、相続権が発生するかもしれないとの見方もありました。

放置されたままの豪邸と残された兄の想い

志村さんが亡くなってからすでに数年が経過していますが、彼が暮らしていた東京三鷹の豪邸や熱海のリゾートマンションは、今も手つかずの状態で残されていると言います。志村さんの兄は、相続の手続きを進めることが心の負担になっていると周囲に打ち明けています。

兄友幸さんは、末の弟である志村さん、そして次男である弟三男を立て続けに失い、今もその悲しみから抜け出せていないようです。長く家族と過ごしてきた志村さんの存在が彼にとってどれほど大きかったかを考えると、相続の手続きを進めるのがどれほど辛いことか想像に難くありません。

志村けんの遺産と未来への影響

志村さんの遺産問題は、今も解決に向けた手続きが続いていると言いますが、遺族にとってはお金の問題以上に志村さんの存在を失った痛みが大きいのです。生前、誰よりも人々を笑わせ、愛され続けた志村さん。その記憶は彼の遺産と共に語り継がれていくことでしょう。

志村けんさん、どうか安らかに。