「苦味も甘味も、全部ひっくるめて私なんです。」
女優、そしてソロアーティストとして、新たなステージを駆け上がる生田絵梨花。2nd EP「bitter candy」は、そんな彼女の魅力を凝縮した、まさに“進化形”と呼ぶにふさわしい作品です。
前作「capriccioso」から約1年。精力的な音楽活動を経てリリースされた本作は、生田自身が作詞作曲を手掛けた「上出来」「無視」をはじめ、sumika片岡健太提供の「アンサンブル・シャングリラ」、meiyo提供の「Clap & Clap!」、椎名林檎カバー「カプチーノ」など、バラエティ豊かな8曲を収録。タイトル通り、苦味と甘味が絶妙に調和した、奥深い世界観が魅力です。
インタビューでは、ソロアーティストとしての手応え、楽曲制作の裏側、そして作品に込めた想いを語ってくれました。乃木坂46卒業後、「ファンと繋がる場所を作りたい」という強い思いからソロ活動をスタートさせた生田。
1st EPリリース後、ライブを通してファンからの熱いリアクションを体感し、「もっと自分の曲でライブを盛り上げたい」という気持ちが強くなったと言います。
今回のEPでは、ライブで盛り上がる楽曲を意識しつつも、1st EPとは異なるアプローチに挑戦。自己表現だけでなく、「こういう曲調が欲しい」という客観的な視点も取り入れました。また、前作が英語タイトル中心だったのに対し、今回は日本語タイトルにもこだわり、「上出来」「無視」といった楽曲が誕生しました。
「リスナー視点で見ると、前作は『届けます!』という印象でしたが、今回は『いろんな面を見せたい』という自我が芽生えた作品だと感じます」という問いに対し、生田は笑顔で頷きます。「メロディや言葉を紡ぐことで『自分からこういうものが出てくるのか』という発見がありましたが、エゴが前に出すぎないように意識しています。聴いてくれる人の生活の中で、私の曲が少しでも引っかかってくれたら嬉しいんです」。
タイトル「bitter candy」に込められたのは、苦味も甘味も肯定するというメッセージ。「日常生活でつまずいたりくじけたりすることがあるからこそ、幸せを実感できる」というテーマを、楽曲を通して表現しました。「頑張れないときがあってもいい。そんな自分を肯定することで、少しでも楽になれたらうれしい」という言葉には、聴く人を優しく包み込むような温かさが感じられます。
特に注目したいのは、先行配信された「上出来」。失敗して落ち込んだ時に「上出来」と声をかけてあげられるような、ポジティブなメッセージが込められています。この曲について生田は、「言葉のおまじないみたいなもの。口に出すことで少しでも楽になれたら」と語ります。
「上出来」は、元々アルバムのオープニング曲として制作されたわけではありません。しかし、ビルボード公演で初披露した際、予想を上回る反響があったことから、急遽リード曲に抜擢されたというエピソードからも、ファンの心を掴む楽曲であることが伺えます。
「bitter candy」は、生田絵梨花がソロアーティストとして新たな一歩を踏み出す、重要な作品です。苦味も甘味も受け入れ、自分らしく生きる喜びを、ぜひ彼女の歌声を通して体感してみてください。