物語の終盤に差し掛かり、登場人物たちがそれぞれの運命に直面する様子が描かれた。特に、美佐江の死と娘の美雪との対話、そして再婚の可能性が示唆される花江、さらには美位子に下された判決が大きな展開となっていく。物語の軸は「家族」と「法の力」に対する問いかけへと移行し、各キャラクターの過去と未来が交錯する最終章が幕を開ける。
物語は、三子石橋奈事件の裁判が最高裁判所の大法廷で行われる直前、星高一ととも子が深刻な会話を交わすシーンから始まる。法律を巡る討論が白熱する中、とも子は高一に、自分の気持ちを打ち明ける。「やっぱり、美佐江さんの子供だわ…」と告げる場面は、彼女が自分の過去と向き合う決意を固める瞬間だ。二人は、法の世界が持つ重みや、人の心に残る痛みについて語り合いながら、互いに支え合う。
裁判の日が近づき、緊張が走る。大法廷の傍聴席は満席となり、とも子が毅然とした態度で法廷に立つ。
「存続殺人の重罰規定は明らかに憲法違反です」と断言する彼女の言葉は、すべての人々に強い印象を与えた。
事件の中心にいる美雪は、再び罪を犯し、逮捕される。とも子は彼女と対峙し、人を傷つける行為がいかに人間性を奪うかについて話す。この対話は、物語の根幹を成すテーマである「人間らしさとは何か」という問いに迫る。美雪が「なぜ人を殺してはいけないのか?」と問うシーンは、視聴者に強烈な印象を残す。
とも子は、娘を救おうとするが、その過程で自らも苦悩する。「人はなぜ他人を支配しようとするのか?」という問いに対し、答えを見つけることができないまま、とも子は美雪に「もうお母さんの真似をしなくてもいい」と優しく諭す。美雪はこの言葉に一瞬心が揺れるが、最終的にナイフを捨て去っていく。この瞬間、とも子の愛と理解が美雪の心に少しでも届いたのかもしれない。
裁判の日、美位子は法廷で審理を受ける。とも子は彼女を支え、正義を勝ち取るために尽力する。そして、判決が下され、存続殺人の重罰規定はついに破棄される。美位子は執行猶予付きの判決を受け、社会復帰の道が開ける。
この勝利は、とも子と美位子の長い戦いに終止符を打つものであったが、同時に彼女たちの心に新たな問いを投げかける。「罪を犯した者に、果たして真の救済があるのか?」という問いが浮かび上がる。
少年法の改正を巡る討論が続く中、法律に対するとも子の思いが深まっていく。少年法の年齢改正は最終的に見送られ、とも子は横浜葛西所長に就任することが決まる。この新たな役職に対し、彼女は喜びと同時に不安を感じながらも、再び家族の支えを得て進んでいく。
特に、花江との対話が印象的である。花江はとも子に対して「人は必ず誰かと関わりながら生きている」と述べ、再婚の可能性を示唆する。
とも子の人生は、法律と家族の狭間で常に揺れ動いてきたが、この新たな展開は彼女に新たな希望を与える。
物語は、とも子の死後、50代になった優未(ゆみ)が彼女の写真を見つめながら、その人生を振り返るシーンで幕を閉じる。優未は母親の影響を強く感じながらも、自分自身の人生を歩んでいる。母の姿勢を手本にしつつも、彼女は「自分らしさ」を模索し続けている。
法律という「船」に乗って人生を進めてきたとも子。その姿は、最終的に彼女が娘たちに遺した一つの道標となり、優未が自分の人生を見つめ直す契機となった。最後のシーンでは、優未が母親の思い出とともに新しい日常へと歩みを進める姿が描かれ、物語は感動的なクライマックスを迎える。