最終週の朝ドラ「虎に翼」では、ついに寅子の最期の物語が描かれ、彼女の壮絶な人生が幕を下ろします。この物語の中で、寅子だけでなく、彼女を取り巻く優未、美雪、美位子のその後も明かされていきます。第125話は、視聴者にとって非常に感動的であり、登場人物たちの未来に向かう姿が鮮明に描かれています。
昭和47年、寅子が手掛ける裁判は、存続殺人の厳しい罰則を巡って争われていました。最高裁の大法廷で行われるこの裁判は、法解釈の変革を求める重要な案件であり、弁護士として挑む米には強いプレッシャーがかかります。寅子の夫、高一は「小さな法律事務所が大物の先生方15人を相手に弁論するなんて、大法廷に回されたのだから勝ち目があるはずだ」と米を励まし、彼女も必死にその責務を果たそうと決意します。
一方、東京家庭裁判所では、美の祖母である彩子が孫の命を救ってほしいと涙ながらに訴えています。
美の母親は、寅子がかつて新潟で出会った森口美佐江であり、その悲劇的な過去に再び向き合わなければならない寅子は、心を揺さぶられます。彼女の過去と現在が交錯し、辛い決断を迫られる寅子の姿が描かれます。
ついに大法廷での審理が始まり、法廷は傍聴人で満員です。米は法の下の平等を主張し、存続殺人の重罰規定は憲法違反であると強く訴えます。彼女の弁論は的確であり、その姿を見た寅子は彼女の成長に微笑みます。米の強い信念が、大法廷に響き渡り、裁判の行方は彼女の言葉に託されました。
その頃、寅子は施設を訪れ、かつて彼女が審判を務めた少年たちと交流を深めます。彼らが社会復帰を果たすための道のりを応援する寅子は、過去の自分と向き合いながらも、今できることに全力を注ぐ決意を新たにします。
物語のもう一つの軸は、寅子の娘である美雪と美位子の成長です。美位子はトラブルに巻き込まれ、家庭裁判所に送られます。彼女の心には、親に対する反発と社会への不信が根強く残っており、友達を買春させた疑いに対しても、反省の色を見せません。
しかし、寅子との対話を通じて、彼女は徐々に自分の行動と向き合うようになります。
「人はなぜ人を殺してはいけないのか」という美位子の問いに、寅子は真摯に答えます。「人権とは人らしさを守るためのもので、奪われた命は二度と戻らない」と。その言葉は美位子の心に響き、彼女は少しずつ自分の心の闇と向き合い始めます。
一方、寅子は美佐江の手帳を読み、その中に隠された真実に気付きます。かつて友として接した美佐江との対話が不十分であったことを悔い、彼女の悲劇を止められなかった自分を責める寅子。しかし、彼女は同じ過ちを繰り返さないと決意し、美位子に対しても「母親の影を追う必要はない、自分らしい人生を歩んでほしい」と伝えます。
美位子はその言葉に戸惑いながらも、自分の母親がどこにでもいる普通の人間であったことを受け入れ始めます。彼女がこれからどのような道を歩むのか、その未来はまだ見えませんが、寅子の言葉が彼女の心に大きな変化をもたらします。
物語のクライマックスは、大法廷での判決です。米の弁論が功を奏し、裁判所は存続殺人の重罰規定が憲法違反であるとの判断を下します。米の勝利は、彼女の努力と信念の賜物であり、寅子もその結果を喜びました。この裁判は、法解釈の歴史を塗り替え、新たな時代への第一歩となりました。
その後、寅子は再び新潟へと旅立ちます。米は彼女の新しい人生をサポートし、過去の影から解放されるようにと仕事を手配していました。美位子もまた、寅子や米、そして友達との絆を大切にしながら、自分の未来を見つめ直します。