朝ドラ『虎に翼』で井つ花江役を演じ、多くの視聴者の心を揺さぶった森田望智（もりた みさと）は、その演技力で再び注目を集めています。花江が夫に対して「絶対に帰ってきて」と涙ながらに叫んだシーンは、5月22日に放送されるや否や、SNS上で大きな反響を呼び、彼女の名がトレンド入りしました。
森田さんは、静かでありながらも芯の強い花江を見事に演じ、視聴者の心に強く訴えかけました。家庭内に生きる女性の尊厳や、外で働く女性と同じくらいその存在が尊いことを伝えるその姿勢は、多くの共感を得ています。森田さんは、「家庭に専念する女性も、外で活躍する女性と同じくらい尊い存在だ」と語り、花江役を通じてその思いを伝え続けました。
森田さんのキャリアにおいて、彼女の名を一躍広めたのは、Netflixオリジナルドラマ『全裸監督』です。この作品で彼女は、実在のAV女優・黒木香（くろき かおる）をモデルとした佐原エミ役を演じ、一世を風靡しました。
役作りのために、脇毛をマジックペンで描くほどの覚悟でオーディションに挑み、役への没頭ぶりは、共演者たちさえも驚かせました。彼女はこの作品で、演技のリアリティを極限まで追求し、視聴者に深い印象を残しました。
『全裸監督』は、日本のみならず世界中で話題となり、森田さんの名は瞬く間に広まりました。エミ役での大胆な演技は、ただの物真似にとどまらず、彼女自身の持つ感性とエネルギーを全力で表現したものでした。そのため、視聴者は彼女の中に、単なる女優以上の「何か」を見出すことになったのです。
森田さんは、その後も多彩な役柄に挑戦し続けました。例えば、『シティーハンター』では、主人公冴羽獠（さえばりょう）の相棒・牧村香を演じ、花江とは全く異なるタフで快活なキャラクターを見事にこなしました。さらに、TBSドラマ『恋する母たち』では、セレブ妻のエリート弁護士と不倫する山下のり子役で、視聴者に強烈なインパクトを与えました。
当初は彼女の悪女ぶりに腹を立てた視聴者も、次第にのり子に引き込まれていくという現象を引き起こし、その演技力の高さを改めて証明しました。
森田さんの演技は、ただ単に台本通りに役を演じるだけでなく、彼女自身がその役に「生きる」ことが特徴です。役に没頭し、その人物像を細部にわたって掘り下げる彼女のアプローチは、常に新鮮であり、観客に新たな発見をもたらします。
森田さんは、役に対する徹底した準備と覚悟で知られています。彼女は演技のワークショップにも頻繁に参加し、役柄に深く入り込む訓練を重ねています。特に印象的だったのは、恋人に浮気されたという簡単な設定の即興芝居で、5分足らずで怒りの感情を全身で表現し続け、40分以上もその芝居を続けたエピソードです。その後、役から抜け出すことができず、放心状態になった森田さんの姿は、彼女がどれほど演技に情熱を注いでいるかを物語っています。
また、森田さんのカメレオン女優ぶりは、映画『探す』での演技でも発揮されました。彼女は死に場所を探す車椅子の女性役を演じ、その姿は初見では彼女だと分からないほどの変貌を遂げていました。共演した佐藤二郎は、「若手にしてもはや女性版ロバート・デ・ニーロの風格」と絶賛し、彼女の多彩な演技力に驚きを隠せなかったと言います。
