昭和の時代が色濃く残る、激動の1970年代。朝ドラ「虎に翼」もついに最終週に突入しました。126話では、主人公・寅子が、親友よねの法廷での弁論に心打たれ、その姿に改めて惚れ直す場面が描かれました。前回の125話で、寅子は母みさえの死という悲しい現実に向き合い、その心の葛藤が描かれましたが、今回はさらに大きな展開が待ち受けています。
126話の始まりは、よねが存続殺人の重罰規定に対する憲法違反を争う裁判で、最高裁の大法廷に立つシーンから。重々しい空気の中、法廷は注目の的となり、傍聴席はすでに満席。よねは、数々の難関を乗り越え、ついにこの大舞台に立つことになりました。
「存続殺人の重罰規定は、憲法に明らかに違反しています。被告人は、その犠牲者に他なりません!」よねの声が法廷に響き渡る。彼女の言葉は、単なる法的な主張にとどまらず、その背後にある人間の苦しみや社会の不平等に対する強い訴えが感じられます。
この弁論に至るまで、よねがどれだけの努力をしてきたかを知る寅子は、傍聴席でその姿を見つめながら、自分もまた何かを学んでいるかのように感じます。よねの言葉には、彼女のこれまでの人生が詰まっており、女性という立場で闘い続けてきた彼女の強さが垣間見える瞬間です。
法廷に向かう前、よねは一度弱気になります。しかし、同僚の轟はそんなよねを励まし、「弱気になる暇があったら、弁論の練習だ!」と声をかけます。その掛け声に応え、よねは再び自信を取り戻し、法廷での勝負に挑む決意を固めます。
その一方で、寅子の周りでも大きな変化が訪れます。友和が家具職人として新たな道を歩むことを決意し、その報告を寅子にします。「新しい憲法と法律が生まれたときは、キラキラと輝いていたのに……」。寅子の言葉には、法が時に古くなり、時に間違いを犯すことへの無念さが込められていました。
5月、大法廷が開廷し、注目の裁判が始まります。傍聴席はすでに満席で、皆がよねの言葉に耳を傾けています。彼女は堂々と立ち、「昭和25年の合憲判決が人類普遍の道徳原理に違反している」と強く主張します。
そして、「今、この道徳の原理を踏みにじったのは誰なのか?」と問いかけ、その問いは法廷全体に重く響きます。
寅子は、そんなよねの姿に、かつての彼女との日々を思い返し、微笑みます。彼女がどれだけ努力をしてきたか、そのすべてを知っているからこそ、今この瞬間に感動せずにはいられません。
法廷の展開とは別に、寅子は個人的な葛藤とも向き合っています。母みさえの死の真実を知り、その苦しみに耐える寅子。しかし、彼女は決してその感情に飲み込まれません。高一の「ちちんぷいぷい」という優しい言葉に励まされ、母親の不在に向き合おうとします。みさえが自ら命を絶った理由、それを知った寅子は、激しく動揺しますが、同時にその悲しみを乗り越え、新たな道を歩む決意を固めます。
「今まで私は守られすぎていた。これからは自立したい」寅子は、よねの姿を見て、そして自らの母の記憶を胸に、強くなることを選びます。
その姿に心打たれたのは、法廷にいるすべての人々だけでなく、視聴者の私たち自身かもしれません。
朝ドラ「虎に翼」は、ついに最終週を迎えます。この126話では、よねの弁論を中心に、寅子の成長と彼女の周りの人々との関係が描かれました。友情、家族、そして法律を通じて描かれる人間ドラマは、視聴者に深い感動を与えます。
残りわずか5話。よねの弁論がどのような結果をもたらすのか、そして寅子は母の死を乗り越え、新しい人生をどのように歩むのか。視聴者にとって、このドラマが終わりを迎えるその瞬間まで、目が離せない展開が続くでしょう。