平安時代の日本、華やかな貴族社会の中で繰り広げられた愛憎と権力闘争。その中でも特に波乱の生涯を送ったのが、藤原実資(ふじわらのさねすけ)と彼の娘・元子でした。ロバート秋山さんが実資を演じる「光る君へ」第42回では、実資の相続トラブルや家族の因縁が描かれます。
藤原実資は名門・藤原北家の流れを汲む一族の一人でしたが、家督争いから外れた異色の人物でした。彼は典雅な宮中儀礼や学問に精通し、ただ権力に媚びることなく、誇り高く生きていました。しかし、その誇りが過剰すぎたのか、家庭内では度重なるトラブルを起こしていました。
彼には元子(げんし)という娘がいましたが、元子が後宮の中で道を外れる行動を取ってしまいます。一条天皇に仕えていた元子は、天皇が崩御すると実資に知られぬよう源頼定(よりさだ)と密かに関係を持ちます。やがてこの関係が明るみに出た際、実資は激怒し、元子の髪を切り、彼女を強制的に出家させました。しかし、元子と頼定はその後も関係を続け、なんと二人の間には娘が生まれることになります。
実資は元子を家から追放し、彼女はまるで「ガレージ」に住むように仮の宿に暮らすこととなります。それでも元子は頼定と生活を共にする道を選び、結局実資に許されることはありませんでした。その後、頼定が病に倒れた際、元子は実資に頼み込んで再び実家に戻りますが、二人の間に修復は難しかったのです。
この元子の行動は父・実資だけでなく、当時の貴族社会にも多大な影響を与えました。
藤原一族にとって家督の行方は何よりも重要な問題でした。実資もまた娘・元子を政略結婚させ、一族の繁栄を願っていましたが、元子の行動によりその計画は崩壊。父と娘の関係は断絶状態となり、最終的には道長の息子・金頼(かねより)に財産が譲渡されることになりました。
元子の大胆な行動は、ただの「やらかし」では終わらず、家系の未来をも揺るがす事態に発展。家系図を巡る人間関係の複雑さや、相続をめぐる権力闘争の中で、実資が最後まで守りたかった「家の誇り」が崩れていきました。
元子を出家させて追放した後も、実資は自身の意地を貫こうとしました。しかし、娘を突き放す冷徹な父親であったものの、どこかに「家族」としての思いが残っていたのかもしれません。
元子の娘が皇族に仕えたことで、少しばかり実資の思いも報われたのかもしれませんが、すでにその時には多くが失われていました。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=n3n16rc6RRk,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]